便秘症について検証する。その原因と解消法
便秘症について検証する。その原因と解消法
40歳代女性を対象にした健康意識調査があります。その結果を見ると「便秘ぎみ」と答えた人の割合が10・3%になっています。
「便秘ぎみ」と答えた人は、おそらく「便秘の定義」を知らないから「便秘ぎみ」という,あいまいな答えになったのだと推察できます。この10・3%の数字が多いのか少ないのかは俄かには判断できませんが、実数はもう少し多いではないかと思います。
そこで医師会の「便秘の定義」を見てみましょう。
■日本消化器病学会
「排便が数日に1回程度に減少し、排便間隔が不規則で便の水分含有量が低下している状態(硬便)を指す。以下略。
この定義から「「便秘ぎみ」の実態を把握してその解消法を考えいきたいと思います。これから紹介する解消法は一般的な症状の対症方です。
●日本消化器病学会の便秘の基準を分かりやすくまとめると次のようになります。
1)排便の回数が減る
2)排便が困難
3)排便はあるがすっきりしない
4)排便がない
●便秘にはさまざまな原因が考えられますが、主な原因を挙げると以下のようになります。
1)食生活に問題がある
2)運動不足
3)便秘薬への依存・乱用
4)他の疾病の影響
5)精神的ストレスが多い
●便秘の原因と対策
1)食物繊維の多い食事を摂る
毎日の食生活で、最も大きな問題点は食物繊が不足していることです。
2)不溶性の食物繊維は、水分を溜め込み、便を軟らかくして、腸の通過をスムーズにしてくれます。また便の嵩(かさ)を増やして腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動(うんどう)を助けてくれます。
3)水溶性の食物繊維には、腸内環境を整えて「善玉菌」を増やす働きがあります。
4)なるべく水溶性の食物繊維を多く含む野菜・海藻・きのこなどを選んで、意識的に食事に取り入れるようにしましょう。
●便秘解消に良い食材について考えてみましょう。
1)トップは水溶性の食物繊維です。腸内の善玉菌を増やす効果があり、お腹の中でゲル状の柔らかい便を作る働きがあります。
2)特に便が固くなりがちな人は水溶性の食物繊維を摂るようにしましょう。
3)果物: りんご、みかんなど
4)野菜: 人参、キャベツ、トマト
「ペクチン」という水溶性食物繊維が豊富に含まれています。
5)寒天や海藻類
「アルギン酸」という水溶性食物繊維が多く含まれています。
●食事が不規則になり、食べたものが長時間大腸内に滞留すると、腐敗が進み水分も吸収されるため、便が硬くなって排便が困難になります。
その結果、痔疾(じしつ)を引き起こすことにもなります。
1)最も便意を感じやすいのは、午前7時頃で朝食の前後です。忙しくてもこの時間帯にトイレに入る習慣をつけましょう。
2)睡眠不足などによる不規則な生活は、ストレスも多く自律神経の乱れを引き起こしますので、便秘の誘因(ゆういん)となります。
●運動不足は、腹部の筋力が低下して腸の蠕動運動も弱り便秘の原因になります。
1)便秘を解消するには、散歩程度の歩きでも十分に効果があります。普段の生活の中でも、なるべく歩く機会を増やしましょう。
2)イラスト「腹筋を鍛える」を参照してください。
イ)座布団から足(脚)を10センチ位上げて、3秒くらい静止してください。
ロ)3秒間、静止したら座布団に足(脚)を戻します。1秒くらい休み、また上げて3秒くらい静止します。
ハ)最初から無理はしないで、慣れるにつれて回数を増やしいきます。毎日10回から15位までするように段々と増やしてください。
3)腸の蠕動運動には腹筋が大きくかかわっており、腹筋力が弱ると腸の働きまで低下してしまいます。便を押し出すことがむつかしくなります。
4)桃李式「按腹法」でお腹のマッサージをすること良いでしょう。
イラスト「按腹法」を参照してください。
イ)フラットな床に仰向けに寝ます。
ロ)掌を重ねてお臍(おへそ)の上にのせます。
ハ)重ねた掌でお腹を軽く押さえながら口から息をゆっくりと吐き出します。次に鼻から息をゆっくりとお腹いっぱいに吸い込みます。息を吐き切った時、一瞬息を0・5秒位止めた後、続けて鼻から息を吸い込むようにすると楽に腹式呼吸ができます。
気持ちが落ちついてリラックスできたら次に移ります。
二)膝を立てて安定するでところ止めて膝を立てたままにします。
ホ)掌を重ねて、鳩尾(ミゾオチ)からお臍の下まで軽くマッサージをしながら、お臍の下まで掌を移動します。
へ)お臍の下まで下りたら、そこから時計周りに「の」の字を書くようにお腹全体を軽くマッサージをします。
チ)最低10回位はしてください。
まとめ
上に紹介した解消法は「便秘ぎみ」程度の一般的な症状に合わせたものです。
改善が見られないときは、自己判断しないで、病院の診察を受けてください。
重篤な病気の前触れの場合もあります。
大腸癌や直腸癌の場合もあります。
便秘位と侮らないでください。